• 福島原発の事故対応は何を意味するのだろうか

    • このままでは日本中で原発の稼働は難しくなるかも知れない
    • 4月22日、政府は原子力災害対策特別措置法に基づいて、東京電力福島第1原発から半径20キロを「警戒区域」とし、その外側となる放射線の累積線量が年間20ミリシーベルトに達する可能性のある福島県内5市町村の全域か一部を「計画的避難区域」、原発から半径20~30キロ圏内で、計画的避難区域に指定されなかった地域を「緊急時避難準備区域」に指定した。
       原発を中心にコンパスで描いた円の内側にいる人を一律に強制避難させ、違反者に罰則を適用してまで守る「住民の健康」と言うのであれば、地域ごとにきめ細かく測った放射線濃度などを基にした対応が必要である。警戒区域指定の代わりに、住民の一時帰宅を認める方針だが、立ち入り禁止の解除時期は誰にも分からず、避難指示から40日も経過した時点での性急な決定で地域のコミュニティの喪失も懸念され、発表には疑問を覚える。
       従来、電気事業法と電源開発促進税法、特別会計に関する法律(旧 電源開発促進対策特別会計法)、発電用施設周辺地域整備法のいわゆる電源三法によって、発電所の設置市町村と直接隣接する市町村が「地元市町村」と位置づけられ、都道府県知事は発電所の建設や運転に対する意見を求めてきた。しかし、今回の福島原発事故に対する一連の政府対応は、施設から3㎞、10㎞、20㎞、30㎞という「距離」が判断基準にされており、「市町村単位」としてきた従来とは全く異なる明確な政策変更であり、関係法令も改正する必要がある。
       懸念していた放射能の風評被害は国内から世界中に拡大しつつあり、香港や上海では日本からの食材輸入が禁止され、日本料理店が閉鎖に追い込まれている。先日、東京電力は福島原発の事故処理について工程表を公表したが、原子力発電所の安全性は電気事業者よりも運転を許可している経済産業省と文部科学省が保証しているのであり、その責任は極めて大きい。
      大震災の発生から時間の経過とともに、政府部内からは東京電力の責任を問う声ばかりが大きくなり、内閣や原子力委員会や原子力安全・保安院の場当たり対応が正当化されつつある。初動対応の躓きから繰り返される後手後手の対応を見るにつけ、福島原発事故の2次、3次災害を誘引する因子は現地ではなく、霞ヶ関と永田町にあるのかも知れない。
       また、大津波の被害を受けた宮城県や岩手県の課題はライフラインの復旧だが、膨大ながれきがこれを阻んでいる。対応しようにも災害関連法制の適用範囲が曖昧で、都道府県レベルではどうにもならないとのことである。政府は1日も早く「人命救助・救難」から「生活再建」「復興」「災害防除」という観点からの大震災への対応方針を示すべきであり、国会の迅速対応に期待したい。
    • 掲載日: 2011年4月23日

 



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