• 菅首相の退陣と野田内閣の船出にあたって

    • 失政の轍を踏むことだけはなしに願いたい
    •  日経ビジネスで、河合 薫氏は「“決断”命!空回りリーダーが最後までさらした醜態」として次のように書いている。
       『菅直人前首相は辞任の記者会見で「私の内閣を、歴史がどう評価するかは、後世の人々の判断に委ねる」と述べた。就任直後の「消費税の引き上げ」や「TPPへの参加」に始まり「太陽光パネル1000万戸」「浜岡原発停止」「脱原発」宣言まで、記者会見の発言内容はクルクル変わり、掲げた政策は何一つ前進しなかった。菅首相が退陣を余儀なくされ理由は「政治判断の誤りによる結果責任」である。
       米ミシガン大学経営大学院のノエル・M・ティシー教授は、「リーダーの優れた決断は、準備、判断、実行という3つの意思決定のプロセスに従っている」と結論づけている。「準備」とは、解決しなければならない問題を見極め「なぜ必要なのか?」をチームのメンバー全員に理解させる段階を言い、時に時間のかかるフェーズである。メンバーの理解が徹底され、「よし、やろう!」と熱意をかき立てられたところで「判断」を下す。判断は明快で、具体性のある中身を伴っていなくてはならない。最後のフェーズが「実行」で、絶えずフィードバックができる環境を整え、結果を最優先に考え、迅速かつ柔軟に対応する。「チームの方向性とビジョン」さえ明確であれば、問題が起こる前に先回りして軌道修正をすることも可能で、物事に対する首尾一貫したリーダーの価値観が大いに試されるのである。
       菅さんは、「準備」フェーズを一切無視し、「チームの方向性とビジョン」をチームメンバーと共有できていなかった。リーダーとは、水先案内人だが、リーダーが汗水流して、私利私欲のためではなくチームのため、社会のため、世のために、誠心誠意一生懸命やっている姿があれば、メンバーたちは共感し、自然に従っただろう。
       自らを“ドジョウ”と称した野田佳彦首相は、前政権が残した課題を速やかに実行に移さなくてはならない。ドジョウは、周囲の色次第で体色を変化させることがあるという。どうか変な色に染まらないで、今の色のままでよろしくお願いいたしたい。』と。

       野田新首相の人事では「党内融和が第1」の方針が貫かれ、「原発事故の収束、復旧、復興、厳しい経済状況に対する対応」が当面の政策目標として掲げられた。進むべき方向が必ずしも一致しているとは言い難い民主党故に、党内の対立を押さえ込むための方途とは言え、素人同然の布陣で難局が乗り切れるとは思えないが、せめて前二人の失政の轍を踏むことだけはなしに願いたい。気がかりなことは民主党首脳に政治空白に対する認識が極めて低いことである。首班交代は致し方ないとしても、政務三役の全面入れ替えによって政府機能が停止し、喫緊課題の3次補正が大幅遅延を余儀なくされてしまった。日本は法治国家であり、国権の最高機関は国会である。震災対応や円高・経済対策などの必要性には与野党に共通認識があり、一刻も早く対処方策を虚心坦懐に議論、協議して、少しでも前進させるべきである。そのためにも、政府・与党には菅前首相が軽視し墓穴を掘った「提案」までのプロセスについて迅速かつ丁寧で機動的な対応を望むのであり、一連の政策執行の遅延の原因が国会のねじれよりも、民主党の都合による政治空白にあることを自覚してもらいたい。
    • 掲載日: 2011年9月03日

 



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