• 安倍首相の靖国参拝が教える国際情勢の変化

    • アメリカの外交戦略を見極める必要性
    •  安倍首相が年末の12月26日に靖国神社に参拝したことに対し、中国、韓国のみならず米国政府が“disappointed”との声明を発表したことは、米国が日本よりも中国の意向を重視する姿勢を示すもので看過できないものである。“disappointed”(失望)という単語は「君にはがっかりしたよ」の意で、“regret”(遺憾とする)とは異なる。昨日の報道で、政府筋は「米国大使館のコメント」と鷹揚に構えているようだが、財政難にあえぐオバマ大統領が、アジアでの軸足を日本から巨大市場である中国に移行させたことは間違いない。

       昨年のオバマ大統領と習近平主席の首脳会談で、中国は米国と「不衝突、不対立の大国関係」を目指し、米国は中国に対し「封じ込め」ではなく「抱き込みを図る」方針を示した。米軍は今年夏のリムパック(環太平洋合同演習)に中国海軍を招くと発表している。中国が東シナ海上空に防空識別圏(ADIZ)を設定した際に、日本政府が航空会社に対し中国の求める飛行計画の提出はしないよう指示したのに対し、米国務省は自国の航空会社に飛行計画の提出を指導するなど、日本政府が言う「日米同盟強化で中国に対抗する」ことは極めて難しい状況にあり、靖国参拝には台湾、シンガポール、ベトナム、EU、ロシアも米国に同調して非難声明を出している。

       自民党の石破幹事長は正月の記者会見で「通常国会で平成25年度の補正予算、平成26年度予算の成立後に集団的自衛権の議論を始める」と述べ、安倍首相の集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更を進める意向を示している。政府は「日米同盟の強化のため」と言うが、中国はもちろん反日親中に傾斜している韓国の反発は必至で、親米派=親中派、反中派=反米派となっている今日の構図は、小泉・ブッシュ時代とは明らかに異なっており、「米国の対応を見誤ると日米関係どころか中国のさらなる台頭を許すおそれがある」と軍事ジャーナリストの田岡俊次氏は指摘している。つまり、従来、欧米が内政問題として容認してきた靖国参拝が中韓の反日キャンペーンによって変化しており、日本からの十分な発信が必要になったと言うことである。

       日本に駐留する米国軍人、軍属は4万4千人余で、米軍施設は29都道県に及び、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を図るためとして日本政府が計上した「おもいやり予算」は、在日米軍駐留経費3628億円をはじめ沖縄県民の基地負担軽減経費88億円、米軍再編事業のうち地元の負担軽減等に資する経費656億円、基地交付金377億円、提供普通財産借上費用1660億円など、ゆうに6000億円を超える。日本の国防すなわち安全保障が米国依存で図られていることは間違いないが、在日米軍に対する日本の政府支出額は逐年増加を続けており、自衛隊装備品(武器)の米国からの買い入れ額を付加すれば決して少ない額ではない。今回の安倍首相の靖国参拝によって国際社会で中国の立ち位置が一層強くなっていることが明らかになったことは幸いであり、私たちは米軍との協調が揺らげば日本の安全は根底から覆されることをきちんと認識し、改めて、日米関係の強化を図る努力が必要なことを示した。

    • 掲載日: 2014年1月09日

 



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