• 「マイナス金利」導入の懸念

    • 民間投資の拡大策がなければ景気は腰折れする可能性が強い
    •  日銀は、1月末の金融政策決定会合で、これまでの量的緩和策に加えて、日銀が預かる金融機関の当座預金に対しマイナス金利を付与することを決定しました。
       日銀の黒田総裁は、市場に供給するマネーの量(マネタリーベース)を年間80兆円のペースで増やすという量的緩和策を2013年4月から実施し、150兆円だったマネタリーベースは2015年12月に約350兆円にまで膨張しています。量的緩和の狙いはインフレ期待による実質金利の低下で、銀行融資を拡大させて民間設備投資を誘発し、円安・株高・経済の拡大循環を実現する目論見、いわゆる「アベノミクス」は順調に推移したように見えました。
       ところが、今年になって、欧州の金融危機や中国経済の先行き不安、イスラム問題などによって、拡大傾向にあった世界経済は原油価格の大幅下落と株式の下落を招いており、外的要因による「トリプル安」が日本経済の懸念材料になりつつあります。
       日本国内の現状は目新しい新規融資の材料に乏しい状況にあり、量的緩和と対をなす著しい成長分野の創出が不可欠で、仮に、日銀に積まれた銀行の当座預金残高約220兆円に0.1%のマイナス金利を適用すれば、銀行には約2200億円もの損失が発生する計算となり、銀行株の暴落は必至です。今回の措置では、2015年の平均残高分をマイナス金利の対象外としていますから、銀行の損失は軽微ですが、ここ数日の市場の反応は過敏かつ過大なものとなっており、債券市場で売買される10年物国債の利回り(長期金利)がマイナスになれば、原油安や中国の景気減速などを背景としたリスク回避の動きと連動して円高・株安、国債の買い加速という日銀の思惑とは真逆の方向に進む可能性は十分にあります。
       昨日、大手銀行やゆうちょ銀行は相次いで金利の引き下げを発表しました。こうした動きは、住宅ローンを抱える若年、勤労世帯に福音となっても、金融資産の3分の2以上を持つ高齢者層の消費マインドを低下させることは自明で、せっかく定着しかけた個人消費の伸張による景気回復の流れを逆転させかねません。
       政府は早急に成長分野への投資拡大と有り余っている民間資金のインフラ活用となるPFIなどの促進策を大胆に打ち出すべきであり、国会は、国の経済や地域住民の生活防衛をどうするのかをきちんと議論して一日も早く成案を示してほしいと思います。国権の最高機関の議論、とりわけ、平成28年度予算を審議する予算委員会での質疑時間の多くが議員個人の資質や献金さらには過去の行動などに費やされる状況を評価する声はごく少数で、国民の野党への期待は日増しに萎んでいるように感じます。
    • 掲載日: 2016年2月13日

 



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