平成24年9月定例島根県議会一般質問(3)

  • 人材と教育力の確保について

    •  大津市でいじめが原因で中学生が自殺したとして滋賀県警が立件、強制捜査に着手して以来、いじめに関する報道がまるで洪水のごとく流されています。学校が「子供の社会性を伸長させるため、言い換えれば市民的成熟を支援する」ための次世代育成支援施設と位置づけると、生産性の低い人が排除、冷遇されることが「自己責任」として許容される現代社会の有り様からすれば当然の帰結であり、学校現場や教育委員会が問題事象を隠蔽するのは、「対応力が不足している」としてメディアや政治家、市民などに非難されることを畏れるからだとする評論には妙に説得力があります。
       いじめは「自分より弱い者に対して、一方的に身体的・心理的攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」と定義され、文部科学省は、臨床心理士を中心としたスクールカウンセラーの学校への派遣、いじめの情報提供・電話相談などを行ういじめ問題対策情報センターの設置など、いじめ対策の基本的な方針を示していますが、対応力は著しく不足していると思います。
       文部省調査研究協力者会議報告によるといじめをなくすためには、「閉鎖的な学校を思いきって開き、固定的な教育発想から抜け出すこと、子供たちの生活空間を広げ、遊びや生活における自己形成を励ますことが必要になる。それは日本の学校の慣習や教師の文化、学校の試験や進学の仕組みを変えることにほかならない。」としていますが、いじめは日本だけでなく世界中で起こっているのであり、慣習や制度変更で対応できるとする報告は笑止千万で、「いじめをなくす」ではなく「いじめは起こる」という前提で、その対応力を向上させる、つまり学校と家庭、教師と保護者の連携で悲惨な事象を食い止めるとい思想が大事であり、同時に、「たくましい子供に育てる」ことがだと思います。
       最近、知事はいじめに対応する第3者機関の設立を起案されたようでありますが、子供がいじめが原因で自殺をするたびに学校が糾弾され、裁判に持ち込まれ損害賠償を求められるという事態が今後続発すれば、学校現場の困惑は大きくなり、教師のモチベーション低下は計り知れないものとなります。
       教師が周囲の雑音に惑わされることなく、その全人格をかけて子供を教育する「鍛える」ことができる状況をつくり、学校が名実ともに「次世代の人材育成の場」とするために、われわれは、もっと学校現場の実状を知り、必要な支援を講じなければなりません。
       ところで、報道では島根県では不登校、いじめ、暴力行為などの問題事象が増加傾向にあるとのことですが、一面からすれば、県内学校ではそうした行為がきちんと把握され、対応されていると見ることができるとも思えます。なぜなら、県内学校の教員は70%以上が40才を超えるベテラン、中堅の教員であり、脂がのりきった世代の指導陣が豊富なケーススタディを持ちつつ毎日の指導にあたっているからであります。裏を返せば、20代の教員は10%以下で10年後の指導体制には大きな不安が起こります。
       平成19年6月の改正教育職員免許法の成立により、平成21年4月1日から教員免許更新制が導入されました。教員免許更新制の目的は、「その時々で教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すもので、不適格教員の排除を目的としたものではない」としていますが、専門性の高い教員養成を目的に展開する専門職大学院である教職大学院の設置などがされ、中教審が大学4年間で単位を取得すれば教員免許が取れる現行制度を変更し、大卒者に与える免許を「基礎免許」とし、教職大学院や大学院の教育学研究科修士課程を履修した人に正規教員につながる「一般免許」の2種類に分けるなどとする新制度の検討を始めるなど教員の資質向上を課題としています。
       従来、日本は99に象徴されるように基礎・基本を徹底的に反復、記憶させ、「知のダム」をつくり、それをベースに思考力、応用力を伸長させるという教育で世界一の知的水準を持った国民を養成し、今日の知能社会を形成させました。それが「つめこみ」「過度の競争」などとの指摘で変質、かつての計算や漢字のドリル、鉄棒の逆上がり、跳び箱など徹底した反復による忍耐力の醸成や「たくましさ」が消滅してしまったように思えます。
       そこでお尋ねするのでありますが、県内教員の年齢構成について小、中、高それぞれについてお示し下さい。また、中、高については教科別の状況も併せてお願いいたします。さらに、少子化によって県内の学校は学級数の減や規模縮小、統廃合などによって将来的に教員の定数が減となることが予想されますが、県内の学校数と教員定数の経年変化の状況および将来見通しについてもお示し下さい。
       今後、団塊世代の大量退職によって大幅な世代交代が予想され、学校現場では若年教員の養成や資質向上が課題となり、また、対応力の低下による教育力の低下が懸念されるところですが、新たな人材確保や養成の方法、体制についてお尋ねします。また、新規採用にあたって、経験者や社会人の登用や年齢構成の偏在是正、一定期間のインターン制導入などが必要になると思われますが、その対応についてお聞かせ下さい。
       中教審は教員の免許制度の改正を打ち出していますが、教職大学院に見られる通り、教育現場の対応力向上は教職課程の変更では克服できないように見受けられますが、県教委としての見解をお示し下さい。
       前述したとおり、島根県ではいじめ、不登校、暴力行為などの問題事象が増加したと発表されていますが、その経年変化と近年の特徴、対応の現状、今後の方針などについてお示し下さい。
       2期8年、北島教育委員長には島根県教育の振興、充実にご尽瘁賜りました。とりわけ、ご自身が「出雲国造」という日本の古より受け継ぐ歴史、精神文化の象徴としてのお立場にあり、議場にあっても高潔なご人格と高いご見識の一端に触れさせていただきました。今任期満了をもって、ご勇退と伺っておりますが、「いじめに負けない、たくましい島根っ子」の育成に必要な教師像、学校像とそれをサポートする教育委員会、地域の役割、あり方についてご高見を賜りたいと存じます。
       最後に教師の懲戒権について述べたいと思います。「教師はいかなる体罰、暴力も児童、生徒に与えてはならない」と言われます。体罰は「起立」「正座」「大声での説諭」も包含されるようであります。同級生や下級生への暴力をはじめ器物を使用しての暴行、窃盗、万引きなどの反社会的行為、人権蹂躙などに対し、教員はそれこそ体を張って当事者の子供と向き合い、対応しています。しかし、時に「職を賭して」「懲戒を覚悟して」の指導に教員は苦悩しているのが実態です。教師の懲戒権付与について教条的な言ではなく、まさに、現場の教師の声を踏まえた徹底した議論を教育委員会で展開され、その見解をおまとめいただきますよう希望します。
  • 北島建孝教育委員長答弁

    • 教育現場の対応力向上について
    •  中教審の教員資質能力向上部会の答申では、実践的指導力やコミュニケーション力などを保障するため、学部4年に加え、1年から2年程度の修士レベルの教育課程を設けるとの理念は示されておりますけれども、具体的にどのようなことを学ぶかについては、今後検討されるというふうなことから、今の段階ではなかなか判断は難しいのではないかと考えております。個人的な見解で申しわけありませんが、私は現場で起こることは現場でしか理解できないし、現場でなければ解決し得ないというふうに考えております。日々変化する現実を理解し、解決していく実践的指導力の育成には、先輩から後輩へのノウハウの伝達のような経験に裏打ちされた育成方法が重要であると考えております。それに加え、教育センターなどが行う研修によって、常に新たな知見を加えていくことで、本当の実践力が育成されるのではないかと思っております。したがいまして、現段階では、単に修学年限を延長することだけで効果が出るということにはならないのではないかというふうに思っております。
  • 北島建孝教育委員長答弁

    • たくましい島根っ子の育成に必要な教師像について
    •  私はいじめという行為は人間の世界ではなくなることはあり得ないと思っております。また、いじめはおっしゃられるように、子どもの世界だけのものでもないと思っております。私も、議員おっしゃられるように、子どもたちにはいじめに負けないたくましさを培ってやりたいと思っております。また同時に、いじめを許さない毅然とした強く、そして優しい人間に育ってほしいと願っております。
       そのような子どもを育てるのには、やはり一番には家庭での教育が大切だと思います。人間として大切にしなければならないことは、子どもが小さいときから繰り返し教えなければならないと思います。例えば、人のものを盗んではならない。人を傷つけるようなうそをついてはいけない。ひきょうな行いをしてはならない。恥を知るなどなど、いろいろあると思いますが、これらを本気で教え、身につけさせることができるのは親しかいないと思っております。子は親を写す鏡といいますから、親は子どもから信頼されるような人間になる努力を怠ってはいけないと思います。
       次に、たくましい子を育成する教師像として私が描くのは、何事にもひるまない覚悟を持った教師であります。いつの間にか義務教育の現場から教壇は消えてしまいましたけれども、教師は一段高いところから子どもを引っ張り上げることが大切だと思っております。時には同じ目線、同じレベルという考えも当然必要かとは思いますが、基本的に教え、諭す者は高みに立たないといけないと思っております。そして、高いとこに立つ者はその職に誇りを持って、聖職者としてふさわしい姿を求めることが大切ではないでしょうか。服装を正し、立ち居振る舞いにも気を使い、いつまでも自分を成長させていく、そういった覚悟が必要だと思っております。
       次に、学校でありますが、学校は集団生活の場ですから、当然いろいろな問題が起こると思います。その一つ一つに、校長を中心に統一した方針のもと、教師が組織的に動けることが大切だと思います。さらに父兄も含め、皆で情報を共有し合い、何でも話し合える雰囲気をつくることができる、本当の意味で地域に開かれた学校が理想だと思っております。
       次に、子どもたちを取り巻く地域でありますが、今の子どもたちが抱えている問題をつくってるのが、私たち大人であります。日本が右肩上がりの私たちの子ども時代は、大人は皆、今よりもよい時代をつくろうと一生懸命に働いておりました。物質の豊かさを手にしてしまった現在、人と人とのかかわりが極めて薄くなってしまいました。昔に戻れとは言いませんが、地域が一体となって子どもを育んでいたあのころのようなつながりのある地域が必要だと思います。
       最後に、教育委員会ですが、家庭像、教師像などるる述べさせていただきましたけれども、現実は理想とかけ離れ、さまざまな課題を抱えているのは御承知のとおりでございます。教育委員会は、それぞれの課題を正確に把握し、素早く的確に対応していくことが必要だと考えております。現在、教育委員会制度に対して、形骸化とか迅速性に欠けるとか機動性が足りないなど、さまざまな意見を耳にしますけれども、私自身、そのような御批判を真摯に受けとめ、そうならないように努力をしてきたつもりではあります。今後も、教育委員会が子どもたちの健やかな成長にとって欠かせない存在であり続けてほしいと願っているところであります。
  • 今井康雄教育長答弁

    • 県内教員の年齢構成と教育人材の確保と養成について
    •  まず、校種別に申し上げますと、小学校は20代が8%、30代が17%、40代が36%、50代が39%でございます。中学校は、20代が7%、30代が22%、40代が39%、50代が32%であります。高等学校は、20代が4%、30代が25%、40代が39%、50代が32%であります。
       次に、中学校、高校の教科別の年齢構成でございます。
       中学校は、数学や英語では20代から30代の若年層が全体の4割を超えておりますが、他の教科は3割を切る状況にございます。高等学校でも、一部の教科は違いますが、おおむね同様の傾向でございます。
       それから次に、県内の学校数と教員定数の経年変化等の状況でございます。
       学校数ですが、10年前と比較いたしますと、小学校で57校の減、中学校で9校の減、高等学校で2校の減となりました。今後につきましては、統廃合等について現状では不確定でございます。
       教員定数でありますが、10年前と比較しますと、小学校で391人の減、中学校で162人の減、高等学校で245人の減となっております。今後の見通しでありますが、現状の学校の配置を前提といたしまして、児童生徒数の推移見込みをもとに推計をいたしますと、10年後には教員定数ですが、小学校で200人程度、中学校で140人程度、高等学校で200人程度、さらに減少すると見込まれます。
       人材の確保についてでありますが、先ほどの教員の年齢構成の状況を見ますと、小学校の教員が退職者のピークが最も早く到来するわけであります。50歳代の前半から半ばにかけてが今大変多い年代でございます。この小学校の教員につきましては、この数年間、採用計画の前倒しを行いまして、若年層の採用に努めてきたところであります。
       また、学校の中核となります年齢層の人材確保を図るために、御指摘の経験者や社会人の登用も重要と考えております。現在、教諭や講師の経験のある者を対象としたシニア枠を設けたり、高等学校の専門学科におきまして、民間企業等での実務経験を生かした特別免許状による採用を実施したりしておりますが、こうした制度につきまして、さらに周知を図り、人材確保に努力したいと思っております。
       それから、今後の採用につきましても、それぞれの校種ごとに、退職者数、教職員定数の動向を踏まえながら、教員構成において極力偏在がないよう努めてまいりたいと思っております。
       それから、養成でありますが、若手教員には教育に対する知識、技能の習得はもとより、子どもたちを指導する実践力やさまざまな教育課題に対応する力を身につけてほしいと思っております。そのために、教育センター等の研修をさらに充実させていくとともに、各学校現場で教員同士が職務を通してお互いを高めることができる環境づくりに向けまして、適切な年齢構成を図ることも含めまして、今後も十分留意をしてまいります。
  • 今井康雄教育長答弁

    • 問題行動の状況と対応について
    •  いじめにつきましては、近年おおむね年200件程度で推移をしており、大きな変動はございません。その内容ですが、冷やかし、からかい、悪口など、こういったことが半数近くでございます。そのほかはさまざまな対応となっております。
       不登校につきましては、近年は全体として減少傾向にございましたが、ここ一、二年、やや増加をしつつあります。そのきっかけといたしましては、学校、家庭あるいは本人に係る状況などさまざまな事柄が関連をいたしております。
       暴力行為はこれまで300件前後で推移をしてまいりましたが、昨年度大幅に増加をいたしました。これは特定の児童生徒が繰り返すケースが多かったためと認識をいたしております。
       そういった問題行動への対応でありますが、特にいじめなどはどの学校でもいつでも起こり得ると、そういう認識のもとで、早期の発見、早期の対応が重要と認識をいたしております。管理職を始めとする教職員への研修、アンケート調査の活用、いじめ110番の設置など相談体制の充実などに努めているところであります。そして、決して担任だけで抱え込むことのないよう、学校全体で組織的な対応をすることを基本といたしまして、状況に応じて、福祉など関係諸機関との連携に努めているとこであります。
       今後でございますが、今申し上げました生徒の実態把握、相談体制の充実、それから家庭、福祉との連携の強化など、よりきめ細かい対応に努めてまいります。また、こうした問題行動につきましては、教育現場による対応解決、これが基本でございますが、実際に各学校ではさまざまな課題にしっかり取り組んでもらっているというふうに認識をしております。ただ取り巻く環境が複雑、多様化しております。学校だけでは解決が困難な事案も想定されるところから、今後、外部の人材を活用いたしまして、学校や保護者を支援する仕組み、こういったものを構築をしたいというふうに考えております。現在、検討を進めているところでございます。
  • 今井康雄教育長答弁

    • 教師の懲戒権について
    •  この懲戒、体罰の問題、教育を行う上で大きな課題であるというふうに認識をいたしております。やや教条的になりますが、改めて申し上げますと、教員の懲戒権につきましては、学校教育法第11条におきまして、教育上必要があると認めるときは、懲戒を加えることができる。ただし体罰を加えることはできないというふうに規定をされております。懲戒を通じて、児童生徒の自己教育力や規範意識の育成を期待をしているところであり、児童生徒の問題行動に対しましては、教育現場として毅然として適切な指導を行う必要があるというふうに思っております。ただ、申し上げるまでもなく、問題行動を起こす児童生徒へのいかなる指導も体罰があってはならず、また教育者として愛情を持って粘り強く行わなければ効果が期待できないということはもとよりであります。
       そうした中で、県内では現場の教職員、さまざまな形で発生をしております児童生徒の問題行動に正面から向き合い、困難な指導上の課題も抱えながら、一生懸命努力をしてもらってるというふうに承知をいたしております。そして、大事なことは、学校全体でそういった問題に対応していくことが大切だろうというふうに思っております。
       こうした教師の懲戒権の問題につきまして、教育委員会の間でさらに議論を深めていくということは大変意義のあることというふうに思っております。今後、現場の意見も聞きながら、委員間で意見交換を深めていきたいというふうに思っております。

 


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