平成25年島根県議会6月定例会一般質問(3)

  • 伝統産業の支援について

    •  日本のお札が危機だと言われます。日本銀行が発行する紙幣は楮や三椏が使われます。とりわけ、福沢諭吉が描かれている1万円札は良質である国産の三椏が必要とされていますが、三椏の生産者が極めて少なくなり、お札の原料が確保できず、輸入に頼らざるを得ないと聞きました。島根県は数少ない楮や三椏の供給地であり、いまも生産が続いている地域とのことですが、先日、「みのもんたの朝ズバ」という番組で、山林の荒廃と就業者の高齢化によってこれらの生産が危機に瀕していると報道されました。ユネスコの無形文化遺産に指定されている石州半紙や人間国宝に指定された故安部栄四郎氏によって全国に知られた出雲民芸紙は大事な守るべき島根の代表的な伝統工芸品です。私の住んでいる出雲市の北山地域でも唐川で紙漉き、和紙の生産が行われ、山村地域の現金収入を支えてきましたが、後継者がおらず存続が危うくなっていますが、はじめに知事の島根の和紙生産に対する所感をお尋ねします。(知事)

       徳島の上勝町の「葉っぱビジネス」、奥会津地方の「編み組み工芸」などは、従来から地域に根ざしてきた生活資源を、知恵と工夫に加え、何よりも強い信念とリーダーシップを持ったリーダーによって、産業として位置づけさせた成功例です。しかし、実際に、四国や東北に行ってみると島根よりも地理的条件や気候、風土の条件は厳しく、これらの地域と比較すれば、島根には地域資源は降るほどあるように感じます。柳生家の家訓には「小才は縁に気づかず、中才は縁を生かさず、大才は袖すり合う縁まで生かす」という言葉がありますが、島根の現状はどうでしょうか。県庁の楮や三椏などの栽培についての現状認識はどのようなものでしょうか。国産の紙幣材料となる三椏の価格は30㎏当たり78000円、輸入品は18000円程度とのことです。現状では、山林施業者が再生産可能な価格として10万円ぐらいはほしいと言っており、機械化の支援などにより、きちんとした栽培管理を行うことによって反収を上げ、中山間地域の転作作物として考えることができると考えますが、農林水産部長の見解をお尋ねします。(農林水産部長)

       現状で、山間地域や中山間地域、漁村など周辺地域で豊かに生活するためには都市生活では得られない「余録」が必要だと思います。私たちが小さい頃、つい、この間のように感じますが、磯にはもずくやのり、わかめがたくさん取れ、誰でもが売っておかねにできました。山には山菜やきのこがあり、四六時中樹木の伐採が行われていました。農村には野良に出ている老若男女の姿があり、自転車で野菜を売りに歩くおばさんたちがありました。確かに島根の一人当たり県民所得は東京の半分かも知れません。しかし、十分に3世代が一緒に暮らすことができる広い庭がある立派な家があり、豊かな農地、山林、海があります。私は、島根が直面している問題の多くの原因が、世帯分離で世帯構成員をへらしていることにあると考えます。一人当たりでは都会に比べて収入は少ないかも知れませんが、世帯で比較すれば都会よりも豊かに生活できる素地が十分に用意されていると思います。私は、豊かさとは、けっして都会の真似をすることではないと思います。溢れるほどの自然がある豊かな田舎でくらす私たちだからこそ得られる余録を探すことこそ、島根に暮らす私たちの利点であると思います。そこで、地域振興部長に尋ねます。島根における余録は何だとお考えになりますか。(地域振興部長)

       最後に知事にお尋ねします。今後、島根の山林の活用についてどのような視点が必要でしょうか。また、山村や中山間地域の活性化にリンクする楮や三椏などの和紙生産をはじめ、ナラ、椚などしいたけ栽培、ウバメガシなど高級木炭生産に活用できる樹木の栽培奨励を図ることなどは、農業のみならず林業の6次産業化を図る上からも有効で、そうした政策の立案、実行が必要だと感じます。しかし、厳しい農林水産業の現状からは、農山漁村にくらす人たちが専業で農林水産業に従事して生活することは難しいことだと感じます。そうであるからこそ、私は半農半Xなどの取り組みがはかられていると思います。3世代同居を推進し、世帯構成員を増加させることによって世帯のみならず集落や農山漁村の存続、ひいては島根の農林水産業を維持できるように感じるのですが、農林水産業について今後どのような展開を図るおつもりであるか所感をお伺いして質問を終わります。(知事)
  • 溝口善兵衛知事答弁

    • 島根県の和紙や山村の活用、今後の農林水産業の展開について
    •  島根県には、古くから和紙づくりが行われております。それぞれの和紙により風合いや色合いなどが異なり、長い伝統の中で培われてきた地域の貴重な特産品であるというふうに認識をしております。
       松江市の八雲町では、人間国宝の故安部栄四郎さんにより復興された出雲民芸紙があります。浜田の三隅町には、ユネスコの無形文化財に登録された石州半紙がございます。そのほか、安来の広瀬和紙、雲南市三刀屋町の斐伊川和紙、出雲市佐田町のスサノオ和紙、江津市桜江町の勝地半紙など、いろいろな和紙があります。
       それぞれの生産者におかれまして、和紙の特色を生かしながらも、現代生活にマッチした製品づくりも行われており、若い人も活用しとります。こうした取り組みを、県としては支援をしていきたいと思っております。地域の伝統工芸品である和紙を次世代につなぐことが大事だというふうに考えておるところであります。
       山林につきましては、やはり地域の雇用の創出、山林にあるさまざまな資源のフル活用、地域産品を付加価値の高い商品に加工して、県外にも出荷をしていくということ。こういうことを通じまして、山村の活性化につなげていくということが大事だというふうに思ってます。
       具体的な山林の活用方法としては幾つかあります。1つは木材生産でありますが、木を切って使って植えて育てる循環型林業を推進していくと。これは国の施策としても展開をされてます。そういうものと一緒に進行中であります。
       それから、特用林産という分野があります。例えば、シイタケの原木となるクヌギ、あるいは医薬の原料となるキハダ、あるいは祭事等に使われるサカキの栽培などがあります。こうした特用林産は、木材に比べまして短期間で収穫ができ、中山間地域の収入の一つとして重要であります。そしてまた、保健休養と、山林をそういう休養のために活用するということがありますが、森林セラピーの効果を活用した都市との交流、学習の場などとして利用していくということでございます。
       山林にありますこうしたさまざまな資源を活用するに当たりましては、気候や土壌に適する樹木の選定、市場の動向、需要の見通し等を考慮して進めていく必要があるというふうに考えておるところであります。

       農林水産業は、地域資源を活用し、農山漁村の暮らしと密接にかかわり合う中で発展をしてきたものであります。県としましては、新たな農林水産業・農山漁村活性化計画に基づきまして、次のような視点で具体的な取り組みを展開しております。
       1つは、産業として自立する農林水産業をつくるということであります。例えば、大型の稲作経営、肉用牛の繁殖肥育一貫経営でありますとか、あるいは基幹漁業の経営を拡大をする。
       2番目は、暮らしと結びついた農林水産業を振興するということで、各地で産直活動などもなされております。これを振興していく。地域の特産品を活用した新たな加工産品を開発する。あるいは、有機農業を拡大をする。半農半Xをやられる方々をふやす。
       さらに、活力のある元気な農山漁村をつくっていくということで、NPO法人などの参画による地域資源の保全、グリーンツーリズムなどを進めるといったことがあります。
       それから、こうしたことを目指しながら、島根の農山漁村の経済を支える農林水産業をしっかりと支援をし、豊かな中山間地域が形成されるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  • 西山彰地域振興部長答弁

    • 島根における余録について
    •  自然豊かな島根県には、季節の山菜やキノコ、竹、カズラなど、収入を得ることができるさまざまなものが自生しております。これらのものを使って、煮しめや竹細工、つる細工など、昔から地域で継承されてきた手作業による加工品や民芸品が製造販売されております。また、手近な産直市での自過剰野菜をお裾分けするような販売。部屋数の多い農家などで、空き部屋などを活用した、島根県では田舎ツーリズムというふうに言っておりますが、民泊体験。時には地域で厄介者になっております竹を使った竹炭づくり。海の恵みを使った伝統的な塩づくりなどがあります。そのほか、視界には入っているものの、価値に気づいていないものがたくさんあると思います。気づく力をつけていきたいというふうに思います。
       さらに、地域で長年暮らしてきたお年寄りの知恵や工夫なども余録に値するものと考えております。これらは地域で暮らす方々の楽しみや生きがいとなって地域の活力や豊かさにつながっていくものと思います。
  • 石黒裕規農林水産部長答弁

    • コウゾ及びミツマタの栽培の現状認識と中山間地域の転作作物について
    •  コウゾにつきましては、浜田市や江津市で100キログラムほど生産されております。それぞれ地元の工房で和紙に加工されております。ミツマタにつきましては、津和野町や大田市を中心といたしまして、3,600キログラムほど生産されております。主に、紙幣の原料といたしまして、独立行政法人国立印刷局へ納入されております。この国立印刷局の買い取り価格でございますけれども、30キログラム当たり7万8,000円ということでございますが、生産費から算出されました生産者の買い取り要望価格、これが30キロ当たり11万円でございます。この差が大きいものですから、全国的に生産の減少が続いている状況でございます。
       一方で、議員御指摘のとおり、中山間地域におきまして、それぞれの地域に合った地域資源を転作作物として振興していくことは大変重要な課題であると認識しております。このため、県といたしましても、エゴマやアカメガシワといった機能性植物の栽培や、タラの芽の生産といった取り組みを進めているところでございます。
       今後とも、このような地域資源を活用する取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。

 


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