平成27年6月定例会一般質問

  • 知事の所信表明について(1)島根版総合戦略の基本理念について

    • 島根県議会の第67代議長をお勤めになり、豊かな海づくり大会の行幸や竹島の日条例の制定など、県政に大きな足跡を残された宮隅啓様には、去る6月22日午後、急逝されました。
      小生にとりましては、平成15年の初当選時の議長でもあり、ここに、故人のご遺徳をお偲び申し上げますとともに、ご遺族ならびに関係者の皆様に謹んでお悔やみを申し上げ、心からご冥福をお祈りいたします。

      それでは、質問に入ります。
      6月16日、今春の改選から初めてとなる定例会本会議の場で、知事は3選後の県政に臨む所信を表明されました。

      知事ならびに議員各位におかれましては、この春の選挙で自らの選挙区を廻り、地域の疲弊を改めて実感されたことと思います。松江や出雲の近郊に造成された新興住宅地にハウスメーカーの真新しい住宅群が建設される一方で、かつて中心市街地とされた地域の空洞化や農山漁村地域の衰弱は見るも無惨なものでありました。

      かつて、地域の中心であった「まち」の衰弱は、公共事業で採用されたバイパス手法の道路整備と無関係ではありません。長い時間につくられてきた地域の都市機能の集積である「まち」は、バイパスという道路一本でほとんどがズタズタに破壊され、ほとんどが消失の危機にあります。
      高い固定資産税を支払い、地域経済を支えてきたまちの商家は行政によって息の根を止められ、新しいロードサイドには他所から参入してきた大資本の店舗が建設されながら、不採算となれば瞬時に閉店・撤退、空き店舗は放置され、無惨な姿をさらしている地域は枚挙にいとまがありません。

      同様に、各地で行われてきた土地改良と言われる圃場整備はほとんどがコメ生産の効率化を目的としたもので、結果として農村から農業従事者を減少させました。近年の著しいコメの販売価格下落は耕作放棄地を拡大させており、農村とりわけ山間地域や中山間地域の疲弊は限界点に達しつつあります。

      「収入なきところに定住なし」とは、元奧出雲町長の岩田一郎氏の政治理念で、「定住人口の減少を補うには交流人口の増加が必要」は海士町の山内町長、「地域の活力を存続させるには子育て世代の確保が大事」とする邑南町の石橋町長。いずれもコンセプトが明快で、進むべき方途を徹底させた町政は成功事例とされています。

      知事は、安倍政権が掲げる「地方創生」は、国が主体的に取り組む初めての人口対策で、人口減少に悩む地方にとって、今後の施策展開の大きな追い風となり得るものと期待感を述べられました。
      確かに、政府が、国策として人口問題を政治課題に挙げたことは少子高齢化対策に多くの財源を充ててきた地方にとって、今後、必要な財源を国が手当をしてくれるという期待があります。

      とりわけ、単独事業で取り組んできた種々の施策に、国の補助金や交付金を充てることで、財政的な余裕が生じれば、採算性が厳しい1次産業などに積極的な支援が可能となり、条件不利地域の定住に資する施策の展開が可能となるに相違ありません。
      さすれば、今後の総合戦略は福祉的な側面よりも生産的な側面を重視したものになるかと問うと、国の動向、とりわけ新たな財政措置が不明で、裏付のないビジョンいわゆる「絵に描いた餅」になる可能性なしとは言い切れないものがあると感じています。

      「ある人間がほんとうに並外れた品性の持ち主であるとわかるには、長い年月にわたり、 その人のおこないを観察しうる幸運にめぐまれなければならない。」で始まり、「あの荒地から、このカノンの地を出現させるのに、つまるところ自分の肉体と精神の力だけ、あくまで無利無欲を貫き通して、神にふさわしい仕事を成し遂げ得た、学問もないこの老農夫に対し、私は限りない尊敬の念にとらわれるのである。エルゼアール・ブッフィエは、1947年、バノンの救貧院で安らかに息を引き取った。」で結ばれる「木を植えた男」は、フランスの小説家ジャン・ジオノが書いた、高知アルプス山脈・プロヴァンスのむき出しの荒地に、約40年にわたって木の種を植え、山全体を緑にし・牧草地を・自然を・人を豊かに変えた老人の物語であります。

      また、「そば屋にとって一番のかき入れ時は大晦日である。北海亭もこの日ばかりは朝からてんてこ舞の忙しさだった。いつもは夜の12時過ぎまで賑やかな表通りだが、夕方になるにつれ家路につく人々の足も速くなる。10時を回ると北海亭の客足もぱったりと止まる。」で始まる栗良平の「一杯のかけそば」です。

      ともに、作者の寓話とされる作品ながら、読み手に大きな感動を覚えさせるのは、「かくありたい」「かくあるべし」という、多くの人たちが「やりたいけれども、実際にはできない」願望、憧憬があるからだと思います。

      県内の多くの地域で黙々と田を耕し、草を刈り、木を植え懸命に働く多くの人々は、ジャン・ジオノが描く主人公のブッフィエであり、住民相互が助け合い、寄り添って暮らす島根県の生業そのものが栗良平の描く蕎麦屋の風景だと感じます。

      しかし、その島根の魅力も核家族化、核分裂家族化でだんだん消失しかかっています。島根の中でも人口の都市集中が進行し、価値観を含めた都市化が急速に進行しているのです。わが、会派の会長である五百川議員が強く指摘するのは、もはや、県内多くの地域社会で、地域コミュニティを基盤とした、かつての心豊かな暮らしを続けることが困難になりつつあるということであり、このまま放置すれば多くの地域が廃村の危機を迎えるという厳然たる事態に、行政がどう対処するのかという問いかけであります。
      それに対し、知事はまともに答えようとしない。ここが残念なところであり、議論に緊張感を欠く要因かもしれません。

      私は、3世代、4世代がともに暮らす、近隣の住民が世代を超えて助け合って暮らすという、「個」ではない「共(協)」。個々の力は弱いが、集団となって、協力することで大きな力となることは過去からずっと続いてきた事柄であり、島根の良さ、島根県のアイデンテティというか強みであると思っています。これこそこの地域社会が、島根が、後世に伝えるべき見えざる財産で、県政の基本に据えるべき真柱であると思います。

      都会地と圧倒的に違いがある豊かなコミュニティの力を活かし、社会給付(サービス給付)の財政負担を減らし、かつ、地方創生で生ずる財政的余力を農林水産業の生産振興や採算性維持に向けることで、農山漁村の定住性を高めることができれば、必ず、地域社会を担う若い世代が島根で生活し、結婚し、子を為し、多世代の家族が一緒に、豊かな自然の中で暮らすことができると信じています。

      そこで、知事にお尋ねします。
      島根の総合戦略の柱となる基本理念は何でしょうか。(知事)
  • 溝口善兵衛知事答弁

    • 地方総合戦略の理念と多世代同居について
    • 地方総合戦略の理念についてであります。また、多世代同居についても、その中でお触れになっております。
       人口減少問題に対処していくための基本的な考え方としては、2つあると思います。1つは、やはりまず若い人たちが安心して子どもを産み育てることができるよう、産業振興を図り、県内で安定した所得が得られる雇用の場をふやしていくということであります。そして2番目に、そうしたことによって県内にとどまる若者たちが結婚し、子を産み育てるという希望をかなえることができるような環境をつくっていく、この2つが基本的に大事なことであります。
       そうした中で、若い人にとりまして子を産み育てるということになりますと、いろんな不安とかがあるわけでございます。例えば、働きながら育児をすることができるんだろうか、時間的にも、あるいは負担の面からも、そういう不安があるでしょうし、また子どもたちが大きくなっていく過程で教育費にもいろいろかかるわけでございます。そうした不安が若者たちの、特に男性の場合にそういうことが強いと言われておりますけども、結婚をためらわせる一つの大きな原因になっておるということだと思います。
       そうした中で、議員が御指摘のとおり、多世代同居は子育て世代の経済的な負担や心身にかかる負担の軽減をするという大きな役割があるわけでございます。また、祖父母によりまして子どもたちに家庭教育をするとか、あるいは地域の伝統文化などを孫たちに教えるとか、そんなことを通じて孫たちが地域になじんでいく、地域のよさを知るといったことがありますし、さらに、逆に祖父母の方々にとりましては、子どもや孫と同居することでその方々自身も生きがいを感ずるとか、日常生活の上で安心を得られるといったいい面もあるわけでございまして、多世代同居がいろんなところで進むっていうことは大変望ましいことだというふうに思います。
  • 溝口善兵衛知事答弁

    • 老年者の地方移住について
    •  この今話題になりました提案は、国が行ったわけではないわけでありますけども、増田さんを中心とするグループの方々がそういう提案をされたわけでございます。この提案につきましては、私どもとしては解決しなければならないいろいろな課題があると考えております。
       1つは、地方の財政負担をどうするかということであります。介護保険や医療保険におきまして、地方の財政負担、被保険者の保険料負担の増加という問題があるわけでございます。ちょっと技術的なことになりますけども、都会の人が島根に来まして施設に入所をすると、例えば特別養護老人ホームあるいは老人保健施設、介護療養型医療施設などに入るために島根に戻られるといった場合は、転出をされる転出もとの自治体がいろいろな経費を負担するということになっておりますが、元気なうちに島根に移住をされて、その方々が高齢になって介護とかを受けられるっていうようなことになりますと、それは地元島根の負担になってくるわけでありまして、そういうものをどうするかという問題がございますし、負担の関係とは直接は関係しませんけども、特別養護老人ホームなどは県内でも待機者がございますから、そういう人との関係はどういうふうに図るかといった問題もあろうかと思います。
       そして2つ目には、いずれにしても医療、介護の分野で都市部から人が来られるということになると、その人たちの世話をする医療関係者あるいは介護の関係者、島根自身不足をしてるわけでありますけども、そういうものを一体どう手当てをするのかということもありますし、そういう問題をどうするかということについて、まだまだ考えなければいけませんし。他方で、都市部でも高齢化が進むわけでございまして、そこでもお医者さん、介護の人が必要になるわけでありまして、これは地方で、余ってるわけじゃありませんしね、日本全体で足らないわけであります。そういう日本全体の問題ではないかというふうな感じがしまして、日本全体の問題をどうするかということがやはり大きな、地域間の移動の話の前に、そういう問題をどう考えるかということが必要だろうと思います。そういう問題でございまして、県としましてはこうした動きがどういうことになるのかにつきましては、先ほどのような問題がありますから、そういう問題がどういうふうに進展するかということもよく研究しながら対応していくべき問題だろうというふうに思います。

 


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