• 競技団体の指導者糾弾について

    • 「袋叩き」は日本の国情に合わない
    •  中国の文人である韓愈が著した『雑説』の「世有伯楽、然後有千里馬。千里馬常有。而伯楽不常有。」は誰もが知る有名な一節で、その意は「世の中に伯楽がいるからこそ、千里を走ることのできる名馬が見出される。千里を走る名馬が身近にあっても、それを見出して、育てることができる人材はそうは居ない。(世の中に人材があっても、それを見出して育てることができる人物がいなければ、有能な人は埋もれてしまう。)」とするものです。
       レスリングのナショナルコーチを務めていた志学館大学の栄和人監督が、オリンピック4連覇を果たして国民栄誉賞を受賞した伊調馨選手に対するパワーハラスメントなどを理由に解任されました。栄監督は、自らの選手生活を終えた後に指導者となり、吉田沙保里選手をはじめ伊調選手、登坂絵莉選手などオリンピックのメダリストのほとんどを育てた、まさに女子レスリング界の『名伯楽』ですが、マスメディアによる厳しい指弾をうけてマットを離れました。
       今年はレスリング競技のほかにも日大のアメリカンフットボール部や日本ボクシング連盟の問題が大きく取り上げられ、今度は日本体操協会の選手強化に関わる問題に火がつきました。これらの問題に共通することは、低迷から脱するために寝食を忘れて指導・強化にあたり、実績を上げた指導陣や競技団体役員が「非民主的」「ワンマン」「パワハラ」などの厳しい糾弾を受け、まさに「石もて追われる」ごとく解任、失職となる『極めて後味が悪い』ものです。
       アマチュアスポーツ界の指導者のほとんどは、身銭を切り、寝食を忘れて選手の育成にあたっており、高い目標に向かって、日常から選手と喜怒哀楽を共有することによって師弟の絆を深め、成果を上げるべく努力を重ねています。時に、高慢や驕り、行き過ぎが生ずれば、その姿勢を正し、軌道修正を求めるべきで、状況に応じて告発は必要かつ有効な手段です。しかし、中立的な立場で告発を審査、調査する常設機関がなく、救済や是正勧告、命令などを発する権限を持つ機関も未整備であるため、メディアが審査機関とばかりの観さえあり、早急に対応ルール(告発→第三者による調査→弁明機会付与→審査→処分・救済)を確立すべきです。
       告発事案の一部を繰り返し報道してつくられた流れや一部の『識者』と称する意見が、時間の経過とともに「世論」とされ、当事者の意思を離れたところで独り歩きをし、必要以上に一方を追い込むケースを見受けます。また、時として、五輪や世界大会等できちんとした実績・結果を残した者の栄光や業績を根こそぎ否定し、指導者や選手としてのライセンスや社会的地位まで剥奪される場合もあります。「和を以て尊しと為す」とあるように、日本人の美徳は「寛容さ」にあり、マスメディアに象徴的ですが、隣国のごとき徹底した「袋叩き」はわが国の国民性に合わないもので、大きな社会的損失となる過剰なパッシングには少なからず違和感を覚えます。
    • 掲載日: 2018年8月30日

 



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