• 2019年頭所感

    • 「伸ばす」
    •  天皇のご退位により平成の御代は今春をもって新しい時代に移る。平成を振り返ると、世界史は「ベルリンの壁の崩壊」「湾岸戦争」「同時多発テロ」「リーマンショック」まで、アメリカがかかわるものがほとんどであるが、近年の中国の台頭は、アメリカをして「自国主義」に走らせるなど、パワーゲームの変化を感じる。
       一方、日本史では「消費税」「バブル景気崩壊」「阪神・淡路大震災」「地下鉄サリン事件」「政権交代」「東日本大震災」など、自然災害と経済の停滞は、少子高齢化で人口減少社会を迎えた日本社会の翳りで、「地方創生」の取り組みが新しい時代の大きな課題であることを物語っている。
       中国に伝わる『易経』に「易窮則変、変則通、通則久(窮ずれば則ち変じ、変ずれば則ち通じ、通ずれば則ち久し)」とある。これは、「事態が行き詰まってどうにもならなくなると、必ず情勢の変化が起こり、その変化によって、新しい展開が始まる。」という意で、新たな変化すなわち、新しい発想と行動が新しい道を切りひらくという教えで、「通ず」とあるのは、客観的なではなく「自らの成長と変化」を求めたものである。
       島根県は、昭和30年の929,066人をピークに人口減少が続き、平成30年に68万人を割り込み、いまも少子高齢化が進行する極めて厳しい状況にある。しかし、私たちには、先人から預ったかけがえのないふるさとを次代につなぐという大きな使命があり、「若い人たちが、夢と希望をもって、島根で暮らし、生き生きと働き、明るい家庭の中で、健やかに老いる」という「島根の地域力」をブラッシュアップさせる必要を感じる。
       若者が希望を持って働き、家庭を持つためには着実な収入が必要で、そのためには地域の産業競争力を高め、収益を上げることが求められる。また、島根は全国有数の高齢者県だが、元気印の高齢者を増やし、社会や家庭で役割を果たしていただくためには、健康寿命を伸ばしていく取り組みが不可欠であり、さらには、次代の島根を背負う子どもたちの能力を高め、社会の役に立つたくましい人材に育て上げるためには、相応の教育力が必要である。
       この14,5年、島根県は財政的な困難の克服が県政の重要事項とされ、ようやく、平成29年度に収支均衡達成を宣し、公債比率など数値的には危機を脱したように見える。しかし、税収などの自主財源は稀少で、国依存の状況に大きな変化はなく、今後もこうした状況は続くと思われる。為政者の戒めに「苦節は貞にす可からず。」とあるが、閉塞感の打破には、硬軟織り交ぜた取り組みが必要で、知事の交代の時期だからこそ、「変化」を求める所以である。
       「少子高齢化は仕方がない」「人口は減るもの」との意識から「若年者を確保して、人口を増やす」という意識への転換は、「出来ない理由より出来る方法を考える」という可能思考への変化が必要で、「島根の地域力を『伸ばす』」という思想も同じである。地域の危急存亡の危機であるからこそ、過去にとらわれない、思い切った発想と「前例のない」施策の展開が可能になる。時代の変わり目となる新しい御代にふさわしい「変」を果たす年にしたいと思う次第である。

    • 掲載日: 2019年1月02日

 



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