• 日本の統治機構の劣化を危惧する

    • 国の統計数値は正しくなければ政策立案、遂行の根拠となり得ない
    •   国や地方公共団体などの公的機関が作成する統計は、政策の立案・実施の基準となるものであり、平成19年の統計法の改正で、従来、公的機関によって調査・作成される中心的統計が、総務大臣による指定と公示に基づいた「指定統計」として規定されていたものを、新たに「基幹統計」として規定し、「国勢調査」、「国民経済計算」に加えて、労働力調査や工業統計調査など56統計が指定されている。
       昨年12月に発覚した毎月勤労統計の不適切調査問題は、「500人以上事業所については全数調査とされていたが東京都では抽出調査となっていた」「一部で抽出調査に変更していたにもかかわらず必要となる処理(復元)が行われていなかった」「18年1月以降だけが復元処理された結果、数値の連続性が失われ、事実が隠蔽された」の3つで、「手続の不正」「数値処理の誤り」「不適切な数値処理と情報提供の不備」に要約できる。
        この不祥事は、毎月勤労統計の遡及改訂、失業保険等による過少給付、GDP統計等の改定、日本の経済統計への信頼性毀損など、大きな社会問題を生じさせており、今後、追加となる行政コストを国民が支払うとなれば、関係者に対する相当な処分と政治的な責任追及は免れないところである。
        厚生労働省の「毎月勤労統計」をめぐる不正調査問題をうけ、総務省が56ある基幹統計が適正に調査されているかを点検したところ、国土交通省では「建設工事統計」「住宅着工件数」、経済産業省の「商業動態統計」など16統計、総務省の「住宅・土地統計」、財務省の「法人企業統計」、文部科学省の「学校教員統計」など9統計が不適切と指摘された。
        そもそも統計数値は正しく調査されていなければ正確な政策判断は不可能であり、このことは政策立案の上でも大きな問題である。官僚には「俺達が国家を支え、動かしている」という自負と誇りが強い使命感となって国民の期待と尊敬を集めてきたが、年金偽装や森友、統計不正など、一連の問題は、職務に対する責任感の欠如が生じているように感じ、日本の統治機構の劣化を危惧する。
        ところで、島根労働局は昨年10月31日時点で、島根県内で働く外国人労働者の数を、前年に比べて13.8%増の4,297人(ブラジル1,299、中国954人、ベトナム885人、フィリピン363人など)と発表したが、島根労働局の発表数値は、県内のハローワークで取り扱った雇用保険の受給者数をまとめたもので、他県に本拠を持つ派遣会社からの就労者はカウントされていない。就労の形態が多様化しているなかで、外国人労働者数は大きく増加しており、島根県で働いているブラジル国籍の日系人だけでも3,000人をゆうに超えており、実態を反映した数値ではないことは明らかである。
        法令の改正により、本年4月から外国人労働者の受け入れがさらに増大することが予測されるが、仮に、国が、厚生労働省(各都道府県の労働局)が発表した統計数値をもとに、外国人の就労や生活、教育などの支援施策を立案、予算化すれば、受け入れをしている地方自治体の混乱と困惑は容易に想像がつくが、こうした状況は秋の臨時国会では全く議論されておらず、発覚した問題ばかりを取り上げ、足許の状況に関心を持たない国会議員にも問題ありと感じるのである。
    • 掲載日: 2019年1月25日

 



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